【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

2023-07-29から1日間の記事一覧

#24 流しの説教小唄

背え比べでえぐった木端さえ誰だ、と怒って立たせましたね 先生どんぐりを押しなべて灰汁を抜く丸い公平が要りますか さて空砲が鳴ったら競争です 三つに二つの弁当箱だ取り損ねたなら腹でもすかし 強い風髪を上げられたひたいにしわでも寄せて笑おうか 何が…

#23 情欲抑揚

哀しみっていうのは平然と描くほど伝わるもんだよ感極まって、なんて壁にもたれてこぼすよりも 偉そうに腰掛けて独白するんだ 肘置きの先端をとんとんと叩き痛いということをシンプルに、適当なサイズでちぎって投げつけてやればいい 楽しみっていうのは哀し…

#22 苺、いちご

一期の歯形を"もう、会いたくないよ"そんな台詞が貫いた小さいからだにひとまわり小さな実をつけて挑発的な白い花に痛みが残っちゃ桃色だ一会の手ほどきに"もう、戻れないだろう"そんな予想は正解か、ただの夢だったのか一輪に花びらをむしるような時間が過…

#21 恵みの雨

辛いけど行かなきゃ 時代はとても恵まれていてのっぺりした雨が続く干上がりのない涼しさと忘れたころの静けさだ 簡単に次へ次へと進んでいく小さく鳴らす足音をかき消す特急と高架の下でぬかるみ引きずる靴元に悲劇の足跡を残しながら 寂しいけど行かなきゃ…

#20 隠した煙草の条件

君は口を塞ぐように持っていた煙草をくわえさせる 用件はなあにまるで尋問のようだった 誤解しないで条件なんてつけないの 落胆を誘う言葉が下唇に、重荷を加える もういいかい ううん、もう一回 逸らす目の真意は隠したままで一回だけ、と嘘をつく 言ってく…

#19 油上の助滑走

己の決まりごとばかり器用におしつけるばかりじゃ銭と札しかもらえないから無意識を言葉にしたい 刺激を受けて、すりこんでないものねだりは消え失せる所詮は点数稼ぎ、それでも見えない世界を描きたい 新しく拾った言葉持っていたように見せかけてすました…

#18 スーパー・ループ・ガール

授業をサボって、あえて走り出す彼女の不満はずっとシラフで 何かが迫るから、怖くてあえぎだす寝ることが許された芝生で 卒業を控えて、肩書を失くすことも控えて 相変わらずの不満と変わらない学生気分で嘘をついてでも唄を奏でた わざとくらい偽物の千鳥…

#17 空洞

なんの技術も裏打ちもない素人が刻めるものは 正直さ以外のなにものでもない 溜めておけないいっそ思いつくままに 時間の経過を忘れ過ぎただけで得るものは捨てて 残った過去のひとの形をまた書いてしまうんだ ※とくりかえしてはぶける想いなら こんなことを…