【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#17 空洞

 

なんの技術も裏打ちもない
素人が刻めるものは

正直さ
以外のなにものでもない

 

溜めておけない
いっそ思いつくままに

時間の経過を忘れ
過ぎただけで得るものは捨てて

 

残った過去のひとの形を
また書いてしまうんだ

※とくりかえして
はぶける想いなら

こんなことを言わずに済む

 

だけど心は空洞のように
その瞬間をつないでしまう

育つことも忘れて
音のない口笛が

形のないひとを
ただ抱き寄せてしまうんだ

許してくれないか