【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#22 苺、いちご

 

一期の歯形を
"もう、会いたくないよ"
そんな台詞が貫いた
小さいからだに
ひとまわり小さな実をつけて
挑発的な白い花に
痛みが残っちゃ桃色だ
一会の手ほどきに
"もう、戻れないだろう"
そんな予想は
正解か、ただの夢だったのか
一輪に
花びらをむしるような時間が過ぎて
飲み干す時間は
かすかな苺のにおいがした