【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

2024-01-03から1日間の記事一覧

#56 楽しい一日

これが正解だったなんてたわ言ぬかして期末だからと見返す馬鹿を見下ろすことの真相は楽しい一日を過ごすことだけで目いっぱい 川べりに着いて深い草のかげからあれこそが正解なんてざれ言ほざいて 戯言、そう訳せば細かい枝はひとくくり往生際悪く跳ね返る…

#55 敗者と呼ばれ

痛くないよ、の害のない程度の嘘にハンカチを握り締めてる 深部がいじくられて赤い印が滲んで塩のまざった水聖者の教えで口をゆすぐ傷口に差し入って少し時間が経ってからのあてつけのような飴を褒美かと考えりゃ 苦々しくもあるけど清々しく歩けそう なめき…

#54 ダブルピース

子供のころ近所の公園のそばにいわゆる身体障害者の人がいて童心のままで止まった大きな身体に坊主頭をゆすってどうしてそうできたのか勝手にトラックを動かしたり問題はとても多かった ある日、消えてしまったけど 遺族はうつむきながら取り決めた自分たち…

#53 菊の花

何を頼んだのかも忘れて届いた飲み物をただ飲んで凍った滝を抜けるようにひしゃげる景色が伝った時砕け散ったと知ったんだ 溢れてるのに水はなくてあぶれてるのに独りじゃなくて死海みたいに真っ白で狂気と思って絞り出した足りないそれは勇気だった 遮二無…

#52 微温湯

終電の終点で起こされた足りないか、行き過ぎたのかそんなのどうでもいいんだけどさタクシーの野郎共が目配せくれんのが実に嫌だね寒いね、やんなるね 右から左へ、上から中へへ目移りする風の誘惑が話が飛び飛び、それはさておきヒバリを吸ってはかんと鳴く…

#51 にきび

椅子の上にあぐらをかいたら膝がひっかかってもぐらない諦めて足を伸ばした拍子にぐいと靴下を脱いだ ついでみたいに体操をして首を場違いな背もたれにのせて唇の上のにきびをさわる 「必要よ」義理もない愛想もない小娘にそう言われたら「悪くねえな」と俺…