【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#53 菊の花


何を頼んだのかも忘れて
届いた飲み物をただ飲んで
凍った滝を抜けるように
ひしゃげる景色が伝った時
砕け散ったと知ったんだ

溢れてるのに水はなくて
あぶれてるのに独りじゃなくて
死海みたいに真っ白で
狂気と思って絞り出した
足りないそれは勇気だった

遮二無二振ったシェイカ
これっぽちの容器で
大人しく飲まれて消える
子供みたいに繕うのなら
また明日とでもってみようか

その肌を拭いて
丸めたティッシュ
菊の花のようだったよ