【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#59 春眠・冬眠

 

誰かのために煙草を止めて
また始めた拍子に怪我をした

誰かの悪意、不意でついた
傷は皺になる途中

繋ぎめははっきりと残ってる

努力している人は
どこかに繋がっていくもの
そんなの宗教みたいで
なんだか怪しいな

 

駅を歩けば、吸い殻の
ポイ捨て禁止・キャンペーン

渡されたのは、
奇しくもばんそうこう

意志薄弱な僕は
説教を認めて、一日の表紙を
飾るために貼ろうと思ったよ

 

自然界のおきてには
報われるも何も
賞賛の辞さえ野暮なもの

だってねじり鉢巻に、粋を決める
理不尽なおきてなら
人にこそ通じる、なんてね

雪崩のような目覚ましに
勢いという名の背番号

春眠に暁を覚えて
冬眠で夢を温める
楽しみにしながらの終日が
あってもいいって感じるよ

 

威勢のいい太鼓は
無性に繋がり合いたい衝動
空の向こうなんて
まだまだ飛んでもないけど

せめて地に眠ろう、そんな
手一杯の聞かせ歌

未熟な灰皿よ
この傷を受け止めておくれ