【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#50 願いは短絡

 

一年ぶりだ、って
お前それ毎年じゃねえか

二年ぶりだ、って
一年やめただけじゃねえか

久しぶりね、って
急に思いついたんじゃねえか

 

まずまず、しばしば
願いは短絡

ますます、白白

願いは暴落

言ってくれ、って
おまえだって言えるんだろう

待ってくれ、って
どうせすぐに逃げるんだろう

酔ってるね、って
心配を楽しみに保ってるよ

 

平常心、正常値
願いは単発

警戒心、停滞期
願いは暴発

したためる長い短冊は
ぶつ切りの短絡の寄せ集め

大量生産、決して
値の付くものではないけれど

 

意にのみ決してる
胃に含み酔っている
毛細血管のように
目立たずに繋がって
ひとつふたつが切れても
自然治癒を待っている
今すぐ欲しい願いなんて
神の鈴よりも小さくて
五円でいいよねって
並んで祈れば叶っちゃう

世界は短絡
信じていたけど
不信というには見苦しい
言い訳ばかりが積もる
それで良い訳もないけど
悪かったとは言えない
ほっとけよ
言える強がりは
きっとそれだけ

 

カタカタと文字を打って
くしゃくしゃに握った本望は
どうにもならないと知っている

暴落、短絡
果敢に陥落

願いの結末は
知らない振りがお約束

それでどうなったの?
なんて要約、いや言えないよ