【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#49 素数

 

「24」
好きだと言って憚らない
幸運
思い込んだ約束の数

確かに多すぎる約数は
冷静になれば素朴じゃないね

 

手前の、23
もっと小さな数々々
無欲のいびつさに
憧れたりもするんだよ

無味無臭の清潔漢にゃ
目指すにも遠すぎるけど

 

素、捨てずに生きて
敵が多くもなって
横書きの文章を
暴力的に縦に読んだら
照れ隠しに気づいて
分かることもあるだろうから

変わらないでね
どこにでもある便せんに
オリジナルの落書きを
飽きないようにしたためた

 

手紙
吹き出しをつけて
見えないほど小さな文字を

 

素行は悪いけど
手紙を読んでいる間だけは
助手席でそっと
膝の間に指をはさんで

ジーンズの皺をなぞって
口をつむんで待っていた
もう、好きとは遠いけど
その明るい茶色い髪の
流れは忘れないだろう

 

遠くから見れば普通の絵
近づいたらジグソーの細工

ところどころ穴だらけ
もう、パズルは終わったよ

君は坂を下りて
別の町へ去っていく
きっと大きくなるだろう
おんなじ形のままで
一個足りなくても
百や千と余っていても

 

倍々、といつまでも手を振って
仕方なく割り切るような

君が嫌う、
反ディズニーでいびつなお話