【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

⑪窓

f:id:nemuhiko:20190903235454j:plain

 

髪型が決まらないと
外へ出ることもうとましい
潔癖で
派手に色めいた青春は
人をとてもおおらかに変えていく
すくいとる、滑らかな土の色
それさえも
ちょっと嫌味に見えたりして

人は変わっていくから
あきらめの言葉など
心の隅にそっと
埋めてしまえばいいよ

 

君が外を向いて
他の誰かも外を向くとき
窓はいくつかあるから
見えるものは違う
ふと見えた雑貨屋に駆け込んで
自分なりを探したりして
誰かのため
似合うプレゼントを見つけたら

馬鹿に素直に
向かい側の窓めがけ
力いっぱいに
放り投げるといいよ

 

自分のため
そんな言葉は頼りなくて
揺れる風に
移ろう服色のようで
だけど代わりに何か
眺めていたいもの 見つけたら
いまあることだけで
いいような気がしたりして

分かるかなあ
分かって
くれるかなあ


―11月<移ろい>の言葉―