【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

【13】ひとつだけ ※あとがき+α

もし読んでくださった方がいたら、ありがとうございます。
懐かしい感情を掘り起こすとあまりに生々しく。ますますこのブログの場所が嫁に内緒になりました(やってるのはなんとなく知ってる)。

日頃、あんまり肩肘張っていないので、この『道京』をつくっているあいだは生活にハリができたように思います。好きな仕事をしている人はきっと、僕が作品をつくるような感覚で人生を謳歌している…と思うとなんだかうらやましい。

ああ、完成してしまう。
終わるにつれそんな感覚がありました。

で、いちおう僕もバンドマンの端くれ。聴こうか聴くまいがアンコールをやってみよう、ということで、最後に”返歌”をのせます。彼女の言葉を入れることで、そのめんどくささとかわいさがうまく伝わるといいんですけど。

最後です。よかったら。

 


「あなたとあたし」

よく考えてみて
ふたりのあいだには
何ひとつ 同じところがないの
あたしは女で
あなたはもうひとつのほう
あたしが左にいれば
あなたが右にいるように
あなたが寝ていると分かるとき
あたしはいつだって起きていて
その夢の行く先は
あたしと違うほう
あたしはここにいるのに
あなたはあたしの話をして
あなたはいつでも
あたしの心のなかにいる

 

だからもしも
もしもさよならがやって来たら
もともと違ったから
しょうがないねと笑って
あなたとあたしの行く先は
いつだって違う場所で
たまたま出会った場所が
ふたりの目のなか、だっただけ

 

いつだって
手に入るのは、ひとつだけ
あなたとあたしが
好きだと言った曲にのせて
かぎりある日曜日を
言葉の間にとじ込めて
名前を呼びかけると
耳をふさいでしまう
あなたが小さく見えた
明るすぎる場所に
目を細めるその癖が
不思議とまぶしく感じてしまう

そのときだけ、ふたりまぶしさを分け合えた