【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#2 向日葵


洗うから、とカバーをはがされて
むき出しの枕と布団に就いた
裸のベッドで
何かに働きかけるように


過去に溺れた


そこは不完全な暗闇
分かってはいるけど


泳ぎ方を忘れたために
泳ぎ方を忘れるために


泳ぎ続ける
胎児のように


先っぽがけばだった針
あたたかなにおいの布に刺した

蜜作(みつくろ)う蜂のように
かきあつめる、一過性のジャム
自家製の芯部に塗りたくり

向日葵のような観覧車と
甘い首筋のキスを想った

失われてはいないはずの
現実への渇望や情熱が
無臭に思えてしまうほど
「無関係」の空間で

無遠慮に溺れつくした

 

 

目をつぶるだけでも楽になる

 

 

そんな慰めの中で
ひとときの無理をした

 

誰のせいでもない
太陽を知らない僕のせいだ

 

 

誰のせいでもない
太陽を知らない僕のせいだ