2024-01-20 #72 参る 詩集『灰も落とせない指』 回顧の糸、まきつけた 小指の先にはまた小指 赤い伝えなどはねつけた 張り詰めた肌、銀の雨 外は早よから風抜けた 雪駄で行く道涼しげで 真綿は空に飛んでった 締めつけたのは仮の綾 歪めすぎよ、行き過ぎよ 玄関迎えて声あった 次いで合う目も涼しげで 背、一杯に胸張った 「考えすぎよ」 時は過ぎれど その言葉には参るよな くたびれ散歩、帰ろうか 色より音の前廊下 蚕の道でも参ろうか 意図は伸び延び、くるくると 滑車に巻かれ傍に来ぬ 背、一杯に胸張った