【ことば倉庫】

詩集『灰も落とせない指』更新中/ほか作品集は最下部から

#72 参る

 

回顧の糸、まきつけた

小指の先にはまた小指

赤い伝えなどはねつけた

張り詰めた肌、銀の雨

外は早よから風抜けた

雪駄で行く道涼しげで

真綿は空に飛んでった

締めつけたのは仮の綾

歪めすぎよ、行き過ぎよ

玄関迎えて声あった

次いで合う目も涼しげで

背、一杯に胸張った

「考えすぎよ」

時は過ぎれど

その言葉には参るよな

くたびれ散歩、帰ろうか

色より音の前廊下

蚕の道でも参ろうか

意図は伸び延び、くるくると

滑車に巻かれ傍に来ぬ

背、一杯に胸張った